甲状腺検査サポート事業の受給者314人~福島県
東京電力福島第1原発事故以降、福島県民の健康診断のあり方を議論している「県民健康調査」検討委員会の第38回会合が5月25日、福島市内で開かれた。昨年12月までに新たに甲状腺がん摘出手術を受けた患者は5人で、甲状腺がんと確定した患者は191人となった。また、甲状腺がんの疑いがある患者の医療費を支給している「甲状腺検査サポート事業」の報告もあり、2015年7月の支給開始から今年3月までに、314人が医療費を受給していることが分かった。
今回、公表されたのは、3巡目(2016年〜17年)と4巡目(2018年〜19年)の昨年12月末までの甲状腺検査結果。穿刺細胞診でにより、新たに悪性ないし悪性疑いと診断された例はなかったが、3巡目が2人、4巡目が3人の計5人が新たに手術を受け、いずれも術後の病理診断で乳頭がんと診断された。これで、甲状腺がんと確定した患者は191人となった。
甲状腺検査サポート事業の受給者は314人 また、甲状腺がんと診断された患者などに医療費を交付している「検査でサポート事業」の実施状況も公表した。これによると、2015年の事業開始から今年3月末までの5年間に医療費の交付を受けたのは314人のべ499件で、1年前の公表人数から61人増えた。
また、手術費用の交付を受けた人も前回の公表より25人増加。5年間の類型は118人となり、うち4人が再手術費用の交付を受けている。これら118人の病理診断結果は、甲状腺がん全体で111人 (乳頭がん107人増(22人増)から・低分化がん1人 ・濾胞がん3人(2人増))、濾胞腺腫等など甲状腺がん以外7人(1人増)だった。
検討委員会では「妊産婦検査」の終了と報告書の取りまとめなどが検討されたほか、環境省の田尻克志環境保健部長が来年の原発事故10年を踏まえて、何らかの見解を示すことを提案。了承された。
会議は新型コロナウィルス感染症の影響を受け、オンラインで実施。18人の委員全員が出席したが、回線トラブルが頻発し、議事が度々中断した。また、傍聴者向けの公式映像も長時間、音声が途切れる事態となった。
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https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-38.html
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